誰かが亡くなると相続と同時に欠かせないのが遺品整理です。遺品整理はとてもエネルギーのかかる行為です。なかなかできず後回しにしてしまう部分もあるでしょう。また間違ったタイミングにしてしまうと相続人同士で揉めたり、相続放棄ができなくなるなど不利益が出ます。
今回は遺品整理について詳しく解説してまいります。
遺品と遺産と遺留品の違い
まず遺品の意味を解説します。遺品という言葉以外にも遺産、遺留品という言葉がございます。これらの言葉の意味も含め整理いたします。
- 遺品→故人(被相続人)が使っていたもの、身の回りのもののことを指します。日記などの金銭的価値のないものも含まれます。
- 遺産→故人(被相続人)が残した財産のことです。不動産や貯金だけではなく、借金のようなマイナスの財産も含みます。
- 遺留品→残された品物という意味があります。そのため故人が残したものだけではなく、生きている方が忘れていったものも含まれます。
どのタイミングで行うべきか?
まず葬儀直後に行うケースです。被相続人が老人ホームや施設などで暮らしていた場合、退所するための期限が設けられております。そのためそこにある荷物は速やかに片さなければなりません。
一方で、遺品整理自体に法的期限はありませんが、相続などやらなければならないことはたくさんございます。
- 死亡届の提出
- 健康保険証の返納、マイナンバーの破棄
- 世帯主変更届
- ガス、水道、電気などの公共料金の解約
- 携帯電話の解約
- 加入していた保険の変更手続き
- 通帳やキャッシュカードの整理
一方遺品整理では、亡くなった人が日常に使っていた衣服や小物、思い出の写真などを処分していく作業になります。そのため49日が過ぎた後など少し落ち着いたタイミングで始める方が感情面でベストであったりします。品整理では、故人が日常的に使っていた衣類や小物類、写真などを手に取ることになります。
また法事には親族も集まるため、遺品整理について相談をして協力を得たりすることができるかもしれません。またあらかじめ話しておくことでトラブルも防げます。
遺品整理の注意点
1.相続放棄を考えている場合
相続放棄を検討している場合、相続財産を勝手に処分することは禁じられています。つまり遺品整理をして勝手に相続財産を売ってしまうことで相続放棄が認められなくなる可能性があるのです。相続放棄ができるのは相続発生から3ヶ月以内と決まっております。そのため相続放棄を考えている場合は3ヶ月以降に本格的な遺品整理をした方がいいでしょう。
根拠となる民法条文は下記のとおりです。
(単純承認の効力)第九百二十条 相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。
(法定単純承認)第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。
なお相続人全員が相続放棄をした場合には、家庭裁判所で選任された「相続管理人」が遺品整理をすることになります。
2.価値の高いものなどを処分しない
遺品整理をしていくうちに価値のある大事なものが出てくる可能性があるかもしれません。また近年では暗号通貨のようなデジタル的なものがございます。このようなものが引き出すためのパスワードのノートなど大事なものが紛れている可能性があります。
慎重に進めていくことが大切です。また遺品整理のプロもおりますので、お金を払って依頼するのも一つの手です。