チケットや乗車券など名前の記載がないが金銭的価値のあるものがあります。その場合の相続はどのようになるのでしょうか?
無記名債権とは?
無記名債権とは、債権に権利者の名前が入っていないものです。代表例としてデパートの商品券、鉄道会社の回数券、劇場等の入場券などがこれに相当します。無記名債権を実際に権利行使できる人は「証券の事実上の所持人」となります。
遺言執行者は、まず被相続人の証券確保をし、自身の管理下に置くようにします。引き渡しによって速やかに相続を行います。債権譲渡の通知は不要です。
無記名債権と民法の取り扱い
無記名債権における関連民法です。2017年までは無記名債権は動産とみなすという規定が民法86条にありましたがこちらは削除されました。改正後民法では無記名債権という文言が消え、無記名証券という文言に変更になりました。
【改正後民法】第520条の20
第二款(記名式所持人払証券)の規定は、無記名証券について準用する。
520条の13 記名式所持人払証券(債権者を指名する記載がされている証券であって,その所持人に弁済をすべき旨が付記されているものをいう。以下同じ。)の譲渡は,その証券を交付しなければ,その効力を生じない。
520条の14 記名式所持人払証券の所持人は,証券上の権利を適法に有するものと推定する。
520条の15 何らかの事由により記名式所持人払証券の占有を失った者がある場合において,その所持人が前条の規定によりその権利を証明するときは,当該所持人は,その証券を返還する義務を負わない。ただし,その所持人が悪意又は重大な過失によりその証券を取得したときは,この限りでない。
520条の16 記名式所持人払証券の債務者は,その証券に記載した事項及びその証券の性質から当然に生ずる結果を除き,その証券の譲渡前の債権者に対抗することができた事由をもって善意の譲受人に対抗することができない。
520条の17 第520条の13から前条までの規定は,記名式所持人払証券を質権の目的とする質権設定について準用する。
520条の18 第520条の8から第520条の12までの規定は,記名式所持人払証券について準用する。
相続財産として申告しないと…
無記名債権の場合、無記名だから大丈夫だろうと、勝手に相続財産から除外してはいけません。無記名債権は脱税の温床になることは税務当局も把握しており、銀行口座のお金の流れなどから、調査が入り容易に見破られてしまいます。仮に税務調査になってしまったりすると後味が悪い上に、精神的肉体的にもエネルギーが削られます。
少しでも迷った際は、税務署に問い合わせるか、手続き自体を全て専門家に依頼しましょう。