所有権更正登記とは、何かの間違いによって実態と登記上の記録にずれがある場合、正しく登記し直すことを言います。
更正登記が認められるのは、登記の一部事項に誤りがある場合です。更正登記の前後で同じ登記名義人がいなくてはなりません。
よくあるケースとしては、単独所有から共有への変更、またその逆、持分割合、登記名義人の追加などです。
例えばAからBは不動産を購入したが、登記上にXさんに不動産の所有者が移転したとなってしまっていた場合、同一の登記名義人がいないため更正の登記はできません。
放置することによるデメリット
贈与税が多くかかる
実際の持分より多くの持分が登記されていた場合、共有者同士で財産の移動があったとみなされそこに贈与税がかかってしまう可能性があります。
例えば1億円の住宅をB、Cがそれぞれ持分1/4、3/4で購入したとします。しかし1/2ずつに誤って登記をしてしまった場合、BからCへの贈与と見做される可能性があります。
R5年の法改正において
最近の民法改正により法定相続登記後の所有権更正登記が単独申請できるようになりました。すなわちどういうことかというと、今までの場合ですと更正登記をする際に今現在に登記されている人全員で申請する必要がありました。それは不動産の所有者として登記されている以上そのものを登記義務者とする必要があるからです。
相続人同士が疎遠だったり、仲が悪かったりすると一向に登記が進まず、手続きが停滞する懸念がありました。そのためこれは相続手続きを進めるにあたって前向きな改正と言えます。
なお具体的には以下のケースにて相続登記後に所有権の更正登記ができます。
1.遺産分割の協議、審判、調停による所有権の取得
2.他の相続人の相続放棄による所有権の取得
3.特定財産承継遺言による所有権の取得
4.相続人が受遺者である遺贈による所有権の取得
更正登記における費用
所有権更正登記の申請には、登録免許税が必要です。
不動産1件につき、1,000円の登録免許税がかかります。多くの場合では土地と建物が対象になるので登録免許税は2,000円です。
登記申請時に申請者または法務局の錯誤・遺漏によって、登記内容に誤りが生じた場合は職権で修正してもらえます。(申請者に落ち度がない場合)
そもそも論として
登記事項は非常に重要な情報となりますので、正しく申告しておく必要があります。間違っているとそれだけでトラブルの元になりますので、自分自身で登記を行う場合注意が必要です。
当センターに相談に来るお客様より、共有持分のミスなどは時々耳にすることがあります。更正登記にはお金もかかりますし、放置することによるデメリットも多いのでできる限りプロに依頼することをお勧めします。